輸入するのってたいへん! 美味しいパネットーネが届くまでの巻
2024.10.3
カ・モンテ オンラインを運営する、モンテ物産の若手社員、エリナちゃんが、部署の垣根を越えて色々な先輩に自社の商品について教えてもらうという、この企画。 エリナちゃんのお勉強に、読者の皆様もお付き合い。イタリアの食文化を深く楽しもう!!
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お疲れ様です!中内先輩。まずは簡単に自己紹介をお願いします!
- 中内先輩
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ロジスティクス部 輸入・調達グループの中内です。2000年にサントリーフーズから出向してきたんですけど、2002年に転籍するか、戻るかを選べて、今、勤続20年です。サントリーフーズはお茶やコーヒーなどの清涼飲料水を扱う会社なので、配属先のイタリア食材を扱う部署の売上は全社の3%くらいでした。新宿南口の高島屋の目の前にオフィスがあって、そこに勤務していました。モンテ物産では最初営業部で数年働いて、それからずーっとロジ部で、輸入や需給管理の業務に携わっています。
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そうだったんですねー。外国から食品を輸入するのって難しそうですけど、どうやってやるんですかー?
- 中内先輩
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まず、どういう商品なのかちゃんと理解することからですね。どのような商品を輸入するっていうのを、関係するお役所に説明しなくてはいけないんです。通関時の対応も担当する人によって全然違って、大まかな方もいれば、物凄い細かくて論理的な人もいるんですよ。そういう人にたまたま当たっちゃうと、もう本当に細かい質問がたくさん来て~
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うわー、大変ですねー。
- 中内先輩
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特に新商品を初めて引っ張ってくる時って、例えば今日お話しするロイソンのパネットーネはドライフルーツをいっぱい使ってるけど、そのドライフルーツを作る時の原料の産地や、素材、製法、どういう成分が残っているかなど、現物と一致した書類を用意しないといけない。特にパネットーネって季節商材じゃない?日本に無事届いても、通関に時間がかかってクリスマス終わっちゃいました~ってなったらアウトだから。
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うーん、しびれますねー。
- 中内先輩
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ロイソンはパネットーネ以外にもよく販促品をたくさん入れてくれるんだけど、うちがお願いしてないものまで載ってることもあって、インボイス(請求書)に謎の名前で記載されていたりして。“Golden ball”とかね。「え、これ金で出来てるわけじゃないよね…?」みたいな。勘違いしそうな名前にしないで~って。メーカーから無償でもらったとしても、販促品も全部申告して納税しなくちゃいけないんです。通関って、通関前に倉庫に搬入してから許可申請をするパターンと、許可申請をしてから倉庫に搬入する2パターンがあるんです。後者のパターンで許可の後に開けてみたら頼んでないものが出てきたってならないよう、しっかり事前に内容を確認することが必要なんです。
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きっとメーカーはサービスのつもりで入れてくれてるんでしょうけど、しっかり書類に記載してもらう必要があるんですねー!
良くも悪くもイタリアらしいですねー! - 中内先輩
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そうですよねー、サービスもあるし、積み間違いもある。お願いしたのを、お願いした数だけ輸出してくれるように日々メーカーとやり取りをしています。
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ふむふむ。
- 中内先輩
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よく営業の皆さんが企業のお客様に提出するために、通関後に関係官庁から発行される書類をくださいって依頼があるんですけど、大きなところとして、原材料や添加物が何か~など食品の安全の部分と、税金の2つがあるのね。それで税金を決める時に、すっごい分厚い税番が書かれた本があって、もちろんネットでも見れるんですけど。例えばパスタにしても、太さが何ミリの物とかはもちろん、マカロニとかブカティーニみたいに穴が開いていたら、中穴の大きさはどれくらいかとか、形状によって番号が全部違うので、それを正しい番号で申告しないと、正しく税金が納められていないということでダメなんですねー。
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同じパスタでもそんな細かいんですねー!
- 中内先輩
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パスタはまだ原材料が小麦粉と水くらいだから、割と簡単な方ですけど、うちが扱っている中で一番その税番がわかりづらいのがパスタソースで、製法、原料、ソースの粘度、包装形態などからどの税番になるのかを事前に税関に問い合わせをして確認しています。他にも例えばイカスミは、水産資源を法律に沿って拿捕・加工された原料の製品であるという証明書を提出しなくてはいけないっていう新しい法律ができたんですよ。これは水産庁なので、他法令って言って関税関連以外に、色々な役所をまたいでの確認が必要になってくることもあります。
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複雑ですね~。でも、皆さんの口に入るものだから、きちんと安全確認されているのですねー。
- 中内先輩
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そうですね。あと問題なのは東京と、千葉と、横浜それぞれの税関で質問内容が異なることも…
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そうなんですかー!空輸の場合は成田空港のある千葉ですか?
うちの自社倉庫も千葉にありますし。 - 中内先輩
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そうそう、それでモニタリングって言って、申告内容と現物が合ってるか、年に何件か抜き打ちチェックが入るんだけど、モンテ物産の商品が良く当たるんですね。ランダムに当たっているはずなんだけど、自社倉庫が千葉の八街にあって、千葉ではたくさんの貨物をうちが輸入してるからみたいで。
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千葉の通関ではだいぶお世話になってるんですねー。
けど、これだけのアイテム数があると在庫管理も大変ですよねー?
- 中内先輩
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今3人で需給をやってるけど、1人あたり300アイテムくらい見てるよー。アイテムの幅が広いのが、モンテ物産としての良さでもあるんだけど、効率を考えると大変ですよね。例えばメーカーがフリーのグッズを付けたりしてくれるのはとても有難いんだけど、発注方法や社内の処理が変わるので、ぜんぶ手作業でやり直したりね。輸入時も1つのコンテナに1アイテムだと、割と楽なんですけど、コンテナに色々混載するってなって、注意事項もたくさんあるってなると、期限内に対象の商品の書類を全部揃えなきゃいけなかったり…なんと言ってもイタリア人だから、ね(笑)
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書類、なかなか来なそうですねー!来ても違ってたり(笑)。
支払いはユーロ建てですか? - 中内先輩
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何パターンかあるんですけど、海上運賃はドル建てで、商品はユーロ建てとか。輸入にかかる税金ってどうやって決まってるかって言うと、商品代と、船の運賃と、保険料の合算の金額に対して、それぞれの商品で何パーセントか…例えば酒税だと1リットル当たりいくらと決まっていて、ワインだと微発泡とか、マルサラみたいな酒精強化とかだと税率が違っていたりします。そこは通関業者が見てくれるんですけど、ちゃんと正しく納税できているかは、うちの担当者が必ず確認しています。関税とか酒税とか、それに伴う消費税の部分ですね。あとはカプートとかの小麦粉だと、納付金っていうのを納めているんですよ。
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農夫金ですか~!?
- 中内先輩
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納付金ですね。主要な食糧の需給と価格を安定させるための仕組みかな、お米とか砂糖も対象ですね。税務調査とかもたまに来るんですけど、きっちりできていれば会社としての信頼性が担保される。でも、常にいい加減と思われちゃって、この会社は悪徳って判断されたら、下手したら輸入できなくなっちゃうかもしれない。だから、信頼を守っていく、積み上げていくっていうのは、とても大切。正確に申告して、納税をして、法律に則ったきちんとした対応をする。最近は個人輸入も増えていて、ネットで色々できるから、環境も変わってきていると思うんですけどね。
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信頼を積み上げていくことが、長い間モンテ物産が輸入商社として続けて来れた理由のひとつなんですねー。
- 中内先輩
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例えばワイナリーがほぼ自家用で少量生産したオリーブオイルがあって、すごい品質が高いから輸入しようってなったりするじゃない?けど向こうに輸入するための書類を依頼しても、「ただオリーブを収穫して、洗って、絞っただけ」みたいに来て、イタリアってそれが良さだと思うんですけど、それだと情報が揃わなくて、電話であれこれ聞いたりとか。あとオリーブオイルだと、ロザーティさん、いまだに請求書が手書き。
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えー!うちでも長い取り扱いの、ラツィオ州のオリーブオイル、ロザーティですか?
- 中内先輩
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でもすごい字がキレイなの(笑)。たぶんずっと家族で細々とやっていて、それが工業製品ではないイタリアの素晴らしいところなんでしょうし、スローフードにも通ずる分もあるのかわからないけど、デジタル化していってる社会からすると驚きですね。
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そうですねー。これからご紹介いただくパネットーネも昔ながらの伝統菓子ですが、ロイソンがお好きなんですかー?
- 中内先輩
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色々買って食べてみたけど、やっぱりロイソンがいちばん美味しいな~って思って。原料にこだわっているなっていうのも、パッケージとかwebサイトとかからも伝わってくるじゃない?
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ロイソンのパネットーネはほんと美味しいですよねー!
お腹がすいてきましたー。 - 中内先輩
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以前営業の人がロイソンの工場に行った時、焼いてる職人さんたちと同じ白衣と帽子に着替えさせられて、そこの社員にされて帰れなくなるんじゃないかっていうくらい熱心に説明してくれたみたいで。それって、イタリアでモノづくりをする人に共通だと思うんだけど、自分のつくるモノに対する自信とか想い、すごい熱意がこもっていて。商品だけじゃなくそういった想いも日本へ運ばれてくる、って考えると、素晴らしいことだし、大切な仕事だなって思います。
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素敵ですねー。
パネットーネも材料が多いから、輸入手続きも大変そうですねー? - 中内先輩
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そうですね。年に1回しか輸入しないから、製法や原材料が変わっていることもあるので、必ず確認をしています。さっき見てきたんだけど、小麦粉と砂糖を使用しているから、関税も結構高いんですよね。でもこの美味しさは、ロイソンならではですよね。パッケージとか、見た目は高級感があって、しっかりしているけど、くどかったり重たすぎる味わいじゃないし。うちの母は胃が弱いですけど、これはパクパク食べています。
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ですよねー!
私もロイソンのパネットーネ、いくらでもいけちゃいそうです♡ - 中内先輩
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パッケージが可愛いから、友人にプレゼントしたこともあります。誰かと食べる時に、「これと一緒に食べるのが王道なんだって」って、アスティと合わせたり。
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いいですねー!素敵な組み合わせですよねー!それでは最後にカ・モンテオンラインのお客様にひとことお願いいたします!
- 中内先輩
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今は、色々な問題で原料の確保も難しくなっているじゃない?お金をいくら払っても手に入れられないとか。イタリアって作り手の情熱がいっぱい詰まっている、日本の職人に通ずる人たちが各地域にいると思う。そんな中でも、人と人との繋がりもあって…私たちがそれを皆さまにお届けできていると思うと嬉しいです。作り手の思いなど、ストーリーを思い浮かべて食べたり、飲んだりしていただけたらなと思います。
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中内先輩、本日はありがとうございました!
あとがき
今回は、ロジスティクス部の中内先輩にお話を伺いました。
輸入の苦労を伺って、はるばるイタリアから届いた食べ物をいただける有難みを実感しました!
先輩おすすめのパネットーネは、イタリアのクリスマスに欠かせないお菓子。ミラノ発祥の伝統的な発酵菓子パンで、イタリアでは、クリスマスの4週間前から親戚や友人に贈ったり、家族で一緒に食べたりする習慣があります。
今回は、一足先にパネットーネと甘口スプマンテ "アスティ"を合わせる人気の組み合わせでいただきました。ドライフルーツの甘い香り漂うふわふわ生地とフルーティーな"アスティ"は相性抜群です♪
皆さんも、今年のクリスマスは、パネットーネで
イタリア気分を味わってみませんか?
次回もお楽しみに!
今回ピックアップした商品
※掲載記事の情報は2023年10月にご購入者様へ配布した記事を元に作成したものです。
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